コードネームは「はかなし」だった。
盂蘭盆が終わるまでに間に合わせなくてはならず6日で作った曲だ。
にもかかわらず相変わらず天邪鬼なことをしている。
曰、
・ベース二つある
・コードがノンコードトーンだらけ
・拍子が4→5→3
・コーラスが人→KAITO
・aメロのメロディが一部だけ違う bの直前
また、今回のアートワークは絵ではなくフリー素材の写真をコラージュした上に加筆したものだ。
今回の音使いの特徴としては「主従入れ替わり」。この入れ替わりが肝なのだ。なにせ世界観がbメロを境に視点入れ替えで語られる。この「主従入れ替わり」をキーワードに謎解きのつもりで聞いてみてほしい。歌詞に呼応するように曲の構成も遊び心を尽くしてある。ヒントは「父母」だ。
ちなみに歌詞中の「肉身もてそろえて母に返し」と「骨身もて数えて父に返し」は(たしか)鈴木大拙だ。
今回起用したのは「空詩音レミ」。永遠の子供の声はこの世の法則を外れ、異郷へ迷い込む童子を象徴する。この声は「空詩音レミ」として世に出た時から時を止め、年を取ることがない。輪廻の輪を外れた観察者としての久遠を醸し出し、子供の声というはかなさと永遠性を両立させた人工の池に咲く蓮の様。
何度も調声後の声を聞き、ふと気づいたがレミの低音は津軽三味線のサワリのようなうなりがある。この子を民謡の歌い手に選んだ私の目は、いや耳はさしも間違っていなかったようだ。