楽曲「朱の起源」余話

楽曲「朱の起源」余話

さて、これは作り手の裏話だ。
蛇足であり、その名の通り余話である。といっても吉田松陰のようにためになる講孟余話ではなく本当に蛇足だ。
それでも曲という表現手段の息の根を止めないよう注意深く裏話を述べていく。

今回は世界観とストーリーが中国と日本の古代思想とそれにまつわる「秘跡」であるが、あからさまな和風(中華風)にはなっていない。むしろ私に精神世界を思わせる高らかで丸い音が目立つように使われている。この丸みのある静謐さを体現する音はその特性を突き詰めれば西洋心理学を感じさせ、むしろアジアからは遠ざかるようであるがその西洋の薫りは今回のアジア的風靡には必要なものだ。
イントロの高音を奏でる丸い音もシンセで作った音だ。

また、使われている打楽器にはアフリカ由来のものもある。
精神世界の原風景を支える飾り気のない色気をストーリーに沿えるのに一役買ってもらい、古い西洋の風に太古の蓋然性を白昼夢として生かしている。

また、こんなところでわざわざバラさなくてもいいのだがオルゴールとエレキベースはフリー音源である。言わなきゃ誰にも気づかれない。
そしてマスタリング作業中に体験版マスタリングソフトの期限が切れたのでそれは放擲して手持ちのソフトでマスタリングする羽目になった。
大丈夫、高価なマスタリングソフト(の体験版)で作った音はどうせ私しか知らないのだから。

最後にボーカルだ。主人公が姫君なのでリンを使うことは決まっていたのだが実は途中まで男役はKAITOの予定だった。
ところがいざ出来上がったオケを聞いてみるとあまりに東アジア風味が少なかったため、以前から気に入っていた中華のバックグラウンドを持つお兄さん、クグツシを起用した。
KAITOと似た優しめの発声であり、リンとの相性は抜群に良い。何より声質が一般的ではなく癖があるため一度聞き慣れれば他のUTAUと聞き違えることがない。

追記

実はこの曲、いったい何をテーマにしたのかあっさり曲中でその言葉をはっきり言っている。もし突き止めたければ歌詞の言葉遊びを弄り回してみて欲しい。
一つがわかれば連鎖式に他の掛け言葉を引き出すヒントになるはずだ。

もし万が一、そんな旅路に出ようという聞き手がいるなら私から一つきびだんごを渡しておく。どうぞこれで道中しのいでもらいたい。
廃寺出ず、はいじーず、だ。

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