原神×ボカロ曲「サイロメタバース」に寄する余話

原神×ボカロ曲「サイロメタバース」に寄する余話

2023年夏ごろからずっと原神×ボカロネタでずっと曲を作りたいと思っていたものをこの夏でとうとう形にできた。



私は普段ほとんどゲームやアニメコンテンツに触れることはないのだが原神は人生2番目くらいにちゃんとプレイしたゲームだ。
原神は特にパイモンと出会うチュートリアルあたりの初期のモンドと徐々に明かされていくカーンルイアの秘密に魅了され、曲にするなら他のどの地域でもどのストーリーでもなくこのあたりだと決めていた。

主人公が黄色い頭の双子、青がテーマカラーの男性キャラがいるという時点で絶対にボカロとハマることは一目瞭然だったのでむしろこのネタを誰も創作に使わないことが不思議だったが、早く出さないと他のもっと知名度のあるボカロPに取られるだろうと思っていたところにサイバー攻撃によるボカコレ延期からの中止。

やきもきする一か月だったもののすでにある程度できていた動画の細部を修正する時間になった。
特にBメロの歌詞に奥行をつけ、なんとなく螺旋のような形にしたのは後付けのアイディアだ。
今回はサムネとサビのレンのアップのイラスト以外は全てAIの作品だ。

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最初は原神を立ち上げ、ゲーム内で写真を撮り、それをAIムービー生成により動画にしたもののいまいち映える動画にならなかったので(私の写真の腕により)、Midjourneyにモンドのもとになったような地域らしいワードで幻想的な風景画を生成させ、それをPixVerseにかけて動画にした。

PixVerseは最近発展目覚ましく、ここ1~2か月の間にバージョンがどんどんアップし、生成できる長さも5秒から8秒へと長くなった。
そのためこの「サイロメタバース」にはver1とver2の動画が混ざっている。

ただ、PixVerseは風景画を動画にするには長けているものの、人間キャラを動かすのはまだ苦手なようで人の目から見て不自然な動きになってしまう。
今回リンパート蛍の動画が全て後ろ向きなのはストーリーと相まってその方が物語性が出るからでもあるが、切実な理由としてPixVerseのつける動きが不気味になってしまうという技術の限界のためでもある。



メタバース世界を作る際にもあることだが人間の目は多少無機物が不自然であってもとくに違和感を感じないが、これが人間等生物になると人類は他者と共存することで社会を作ってきたために、ほんの少しの違和感でも気持ち悪く感じる。

特にPixVerseがよく出力してくる不気味な表現の一つに子供キャラの画像をアップして動かさせるとなぜか大人に成長させる、というものがある。
これは子供から大人に切り替わる際に顔と身体が不自然に歪むためかなり気持ち悪い動画になる。
ホラー楽曲に使えるかもしれないのでホラー作品を作る人は試してみると良い。


動画づくりで予想外に大変だったのが、AIが出力してくる5~8秒の短い動画を繋ぎ合わせて一貫したストーリーにすることだった。
これは複雑な無意識とそこに住まう人間のセンスだけが頼りの全く正解のない作業になる。
なにせ参考にできるものが何もなく、道しるべになるのは自分の違和感やしっくりくるというった感性のみ。
AIと人間の芸術における共存というのはこういうものかもしれない。

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この曲「サイロメタバース」は仮想ネットワークアルバム[Nordistan]に一応属する曲ではあるものの、原神という元ネタがあるためそこまで私の世界観に寄っておらず、私の曲にしては聞きやすい、はずだ。
使用楽器もモンドのクラシカルさを醸し出すようなヨーロッパ大陸の民族楽器にサポートでオーケストラ楽器が華を添えている。
インスト音源をよく聞くとパーカッションに一番民族っぽさが出ていると思う。

この曲は一番最初にふと「泥濘の底に黎明の地」というフレーズを思いついたところに端を発する。
このフレーズだけは絶対にサビに入れると決めて作り始め、そこから王道ヨーロッパ風ファンタジーらしい曲調、ヒルチャール語を造語の様に音として使うというイメージで構築されていった。


歌詞の内容も主に旅人のお話だ。
メインボーカルを決めるにあたって迷ったのがリンとレンどちらをメインにするかだった。
公式では少年主人公がメイン、私も自分のアカウントでは空を選んで旅をしているものの、コーラスにKAITOを使うならリンの方が相性が良いので蛍を主人公にするか何度もDAW上でボーカルを切り替えて考えあぐねていた。

最終的に王道そのままにレンをメインにしたもののいつかリンverも作ってみたい。
なぜこの曲のリンのMixがあんなに膜がかかったようにオケに埋もれるほど聞き取りづらいのかはこういう理由による。



先にこの曲の始まりは「泥濘の底に黎明の地」というフレーズを思いついたところに端を発すると述べたが、同時に「サイロメタバース」というタイトルも歩いていたら思いついた。
これは曲の構想を練っていた時期に読んでいた「世界2.0/佐藤航陽」の影響が大きい。
この本のタイトルは自然界を世界1.0(神が作ったオリジナルの世界)とした場合、人間が作り出すメタバース世界はそれに倣う2.0であるという意味だ。

そこから原神世界、単なるゲーム世界ではなくもう一つの現実を作り出そうとしているようなホヨバの心意気や意図を多感に深読みした結果、原神世界は単なるRPGではなくもしかしたらもう一つの現実をテイワットという名で創造しようとしているのかもしれないというイメージを膨らませた結果ふと湧き上がって来たのが「サイロメタバース」というタイトルだった。
投稿直前まで「サイコロメタバース」にしようかさんざん悩み、サイロでも意味が通じないことはないためそのまま最初に思いついたタイトルを使用した。
実はサイコロメタバースの方がわかりやすく意味が通っている。

この曲を深読みする際にはぜひタイトルが「サイコロメタバース」だったら、と想像してみて欲しい。


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