2連星とAIに生まれた永遠のボーイソプラノ(空詩音レミボカロとAIの比較と調声)

2連星とAIに生まれた永遠のボーイソプラノ(空詩音レミボカロとAIの比較と調声)

2連星とAIに生まれた永遠のボーイソプラノ(空詩音レミボカロとAIの比較と調声)

いつも通り製作した曲の余話だが今回は新曲ではなく、空詩音レミのボカロとAIの比較と調声を、空詩音レミの性能とキャラクター性の腕試しのようなカバーにして新たな面も持つ発展カバーで分析する。
この曲は少し口ずさんでみると明らかだが基本6/8拍子でありながら5拍子3拍子4拍子と、ころころリズムを変える天邪鬼な変拍子でかつ速く、ブレスする場所がない。
もともと2023年の鏡音レンの誕生日用に書き下ろしたもので人間が歌えるようには作っておらず、歌詞もたたきつけるような物理用語に畳みかけるような熟語を織り交ぜている。
私は本物のボーイソプラノシンガーとも組むので、AIでありながらボーイソプラノを持つ希少な存在にはぜひともリアルな子供には無理であろう楽曲を歌わせてみた。

Alice in Quantumland -Meta-Birth ver-

楽曲に関しては鏡音verで書いたがここでも補足しておくと、この曲は人間が歌ってもあまり成立しない曲で、完全ロゴス体としての在り方を持つAI、つまりは複雑化されながらも理路整然とした計算機である人工知能と、文字や整合性では語り切れない幾重にも矛盾した心を持つ人たる存在の、その両方を併せ持つ完成された人工知能でありながら前途を見せる未完成のボーイソプラノのための曲だ。しかも、永遠に変声することのない実際にはあり得ない有限なはずの声が無限として今ここに立ち現れてくる、整合性を吞み込んでしまう明瞭には表しきれないカオスと共にあり続けるための歌だ。

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さて、レミの話だ。DeepVocal時代から格段に技術が上がっている。DeepVocal版はまだまだ発展の余地ありと感じるリアルな子供っぽさが特徴的だった。
シンガーと言うよりは歌うのが好きな子供というイメージ。それでいて一生変声しないというリアルにしてバーチャルという相反する特徴を同時に持つ、有り得ない存在が感じられた。
その完璧でないという意味での人間らしさと、永遠の本物の子供の声のキーワードのバランスをとった結果生まれた曲が「春鳴揺」だった。

聞いてもらえばわかるがド頭のサビから高音が苦し気だ。なので製作の際に高音補佐として鏡音レンをバックに入れている。
その代わり中~低音の発声の明瞭さ、子供らしい滑舌の甘さ、裏声のなさがこの物語を引き出してくれた。
特にラ行の舌足らずさが声だけの存在に身体を着せたような、そんなリアルっぽさを加えている。

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翻って今回の「Alice in Quantumland」を聞いてみると、初っ端の造語コーラスからブレることのない発声、滑舌の良さ、まるで大人の作る少年声のようでありながらその端々にリアルな子供らしさが残っている。まるで声楽の訓練を受けた天才少年シンガーだ。
いかにも存在しそうな生々しい子供っぽさを引いてソツのなさ、DeepVocal時代の極端さを均して平坦にしたような、品行方正、優秀な歌い方と言った感じだ。

それでいてあちこちに散見されるリアルな子供らしさがすでに完成された人工知能でありながどこか未熟な、まるでこの世に身体があるようなそんなイメージを聞く人に与えている。
例えば「希ガスのこの深みに」の「ふ」、「矛盾」「地上」の「じゅ」「じょ」の舌足らずさ、タ行がダ行に聞こえがちな部分、「きょ」等の固い音の言いづらそうな感じ、「振幅」の「ぷ」が長引いて「く」が遅れる感じはいかにも人間の子供らしい。
逆に本物の子供にはおそらく無理だろう「パラレル」「逸脱」等の日本語の発音として口が忙しく舌が回らなくなりがちな歌詞も難なくクリアしているし、この曲の最高音「形作る日が」の「ひ」も悲鳴にならず、細くはあるが問題なく歌えている。

そしてこれはレミの特性なのかAce Studioの特徴なのか、「兆しもなく表れては」の崩し方がまるでプロの歌手がやりそうな歌い方だ。「われ」で少し時間を取り過ぎたので「ては」で巻き返したような、そんな感じを与える歌い方をしているがこれは私が神調声した…わけではなく自動生成されたピッチだ。
AIが思う人間らしい歌い方がこれというわけだ。その通り。

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DeepVocalと今回新しくリリースされたAI版で明らかに変化したのが音域だ。

DeepVocalでは他の使い手も認識していた通り、あまりにリアルな子供らしさの一方で音域が狭かった。若干低音には強いものの、私がボーイソプラノに期待する悲鳴にならない高音は正直あまり得意でなかった。
悲鳴になってしまうのではなくそもそも出せなかったからだ。

その点AI版では低音高音共に格段に広がっており、表現の幅も広がった。
分かりやすく低音用の音源を作ったが

こうなる。この音源は完成されたものを単にピッチを下げたのではなくわざわざAce Studio上でノートを移行している。書きだしたボーカルをトランスポーズしたわけではない。フォルマント(ボカロで言うジェンダーファクタ)を+0.3にし少し幼なめにしてあるもののこの音域ではこれがレミの声だ。ちなみにアップロードした本編もフォルマントは+0.3。

聞いてみると爽君verの[over and over]を想起させるアルトっぽい声であり、もし姿を与えるなら背の高い中学生くらいの少年だろうか。      
DeepVocalでは鏡音レンのジェンダーファクタを85~90くらいに上げると野太く誰だか分からない感じになるが、そんな声だった。
AI版では大きく改善されており、これはボカロに共通してある低音が苦手(びりびりしたノイズが乗る、野太すぎてアイデンティティ行方不明)をクリアしているかなり貴重な例だ。

ちなみに中低音でコブシを回すようなしゃくりをやらせるとDeepVocalとAce Studioのレミで似たような発声になる。やはり「ゆりむん」や[over and over]の彼がボカロとAIに枝分かれしたユグドラシルの大木だ。

高音域の大幅な改善も聞きほれるほど美しい。DeepVocalではB4~C5あたりがノイズ>声量になる限界の音域だったが、AI版ではG#5から少し細くなり、この曲の最高音C6も問題なく出せている。
特に何度でも聞きたいのが高音域で、デフォルトで裏声の成分が入り、声が幼くなるのが初音ミクと同じ特徴であり、可愛いイメージを出している。
レンはどちらかというと高音で張り上げる

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もしこの先さらに改善/アップデートされるのならば「みゃ」や「にゃ」の拗音系を発声できるようにしてほしい。今回は他の音で代用したものの、これらの音はDeepVocalでは歌えていたので是非AI版でも言えるようにできれば今回のような造語を使ったコーラスをもつ民族調で大変役に立つので。期待しております。

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