男性ボカロで生き残る戦法分析

男性ボカロで生き残る戦法分析

初めに申し上げるが私はKAITOで民族調楽曲をつくるのはやめない。やめないのであしからず。

KAITO V3で出そうと思ってやめた曲が何曲かある。
それらの曲は人間男性シンガーに依頼した。

それには大きな理由が二つあり、一つはKAITOリスナー層の傾向と聞いてもらえる傾向のある曲の特徴の偏りのため、もう一つはそもそも男性ボカロの落ち目を感じざるをえないためだった。

まずはボカコレ2023Top300曲で使用されたボカロと全体再生回数のデータを見て欲しい。いずれも元データから所持ボカロのみ抽出したものだ。

初音ミクが「新人殺し」と言われるほど一強なのは不変の真理として、ci_flowerが鏡音を差し置いてミクの後に来るという意外な結果だがこれはおそらくこのライブラリの発売が2023年3月とボカコレの開催時期と被っており話題性を狙ったものと推測できる。
つまりこの一回限りのトレンドで終わる可能性が高い。
それが証拠にv_flowerはランキングに入っていない。

さて、グラフを見てもらえば鏡音二人の差が顕著にわかるだろう。レンの再生回数(人気と言い換えても良い)はリンの丁度半分程度。
女性のみならず男性にも一定の人気があるはずのショタキャラがこの程度で収まっているところを見るといかにボカロ(AI含むすべての打ち込み系ボーカル)界隈で少女キャラが強いかよくわかる。

ボカロの性別の壁に関してのデータがこれだ

もはや数が少なすぎて全員名前を挙げても長文にならないが、男性はKAITOとナクモのみ。
ショタ/中性は鏡音レン、カゼヒキ、ずんだもんの三人。
ショタキャラはずんだもんのおかげでまだしばらくもちそうだが男性キャラはいよいよ危ない。

これは私の推測だがもともとDTMは男性文化であり求められたのは美少女。
そこに後から入って来た女性Pもそれほど有名でなく聞かれづらい男性ボーカルよりは元から人気のある少女ボーカルを使ったと考えられる。

皆さんご存じだろうが男性は男性キャラを応援しないが女性は女性キャラを好きになれるからだ。
初音ミクファンには女性も多いがKAITOファンの男性はかなりニッチである。

ちなみに所持していないため書かなかったがミクの後にどのランキングでもぴったりつけているのが音楽同位体の可不だ。
ランキングに名を連ねている可不、星界、裏命が所属する音楽的同位体に男性キャラが一人もいないのがもうあまりにもわかりやすい答えだ。
ボカロで男性キャラはウケない。

だが貴方はこう考えるかもしれない。
確かにもともと男性文化だったDTMの世界でKAITOを始めとする男性ボカロはウケなかったかもしれない。
だけど今や女性向けは男性向けよりずっと社会の中で力を持っているカルチャーなのだから、男性ボカロが今もなおウケないのはおかしいじゃないか?
実際BLなんかとっくに市民権を得ているじゃないか?

そう、その通りだ。それこそがKAITOだけが男性ボカロ内で唯一生き残れたその理由なのだ。
KAITOが生き残れた大きな理由として「プロセカに採用されたこと」と「女性向けキャラとして立ち位置を確立したこと」の二つの要素が欠かせない。
どちらかだけでもダメなのだ。実際MEIKOはプロセカ採用キャラであるもののボカコレランキングではKAITOより票数は少ない。

いやはっきり言うならばKAITOは元々女性Pの使う女性向けの面があったように思う。
KAITO民族調で言えばわんだらPイントロP新城Pあたりの黄金のKAITO民族調Pの作品から始まり、「サンドリヨン」や「下弦の月(千本桜の兄弟曲)」等初めから女性向けだった彼に、女性カルチャーの流れが後からハマったのが実際のところだろう。

つまり
①元々女性向けだったKAITOが女性カルチャーが力を得た流れと合流した
②プロセカに採用され知名度が上がった
③①×②の掛け合わせの結果
KAITO以外の男性ボカロは生き残れなかったのでBLジャンルで食おうにも相手がいない

この流れだ。もしKAITOの他にもう一人くらい、例えばがくぽなんかがプロセカに採用されていたらおそらく女性向けの勢いと相まってBLソングは増えていただろうし他の男性ボカロも続く流れになった可能性はある。

実際探してみると男性二人で組むようなデュエットは鏡音レンかカゼヒキといったボカコレランキングに入ったショタキャラしかいない。
このデータからしてずんだもんと組ませても伸びるだろう。

では最後にどうしてもKAITOを使いたいとして、どのような曲を書けば伸びるか?
KAITOの演出の傾向を少し調べてみたのでシェア。

ベン図の黄色が「α性、オラついた感じの陽キャ(俺が夢を見せてやるよお姫様的なやつ)」傾向のある演出で青色が「可愛い系・アイドル系(こんな弱い僕を誰か愛してみたいなやつ)」の演出だ。
若干Pが偏っているかもしれないが、大手のKAITO使い(2024年現在でも精力的に活動しておりリスナーや登録者数が万は超えて当然のP)をざっと調べた結果だいたいどちらかに当てはまる。

ベン図作っておいてなんだが真ん中は不明だ。私は女性向けカルチャーは全く知らない。
社会学のデータや統計からなんとなくうわべだけ学んだくらいだ。

つまり、KAITOでウケたいなら「α性を高めた攻撃的な性格」にするかもしくは真逆の「気弱で可愛い系」にするかのどちらかに完全に振った方が良いと言える。
つまり、もし貴方がどうしてもKAITOで民族調を書きたいのであれば、曲調ではなく歌詞の傾向と調声をこのどちらかに完全に寄せるのだ。
好き勝手に何も考えずやみくもに作るよりはウケる可能性を上げられる。

もしこのどちらもできないのなら、(つまり女性向けに完全に振れないのならば)素直に初音ミクか可不を使った方が良い。


こう書いておいてなんだが私の得意なジャンルSFや量子力学チックな歌詞(男性向け)とKAITO(女性向け)は見事に駆け合わせが最悪だったわけだ。
誰もこのジャンルで作っていなかったからこそやりたかったのだが聞かれないのでは話にならない。残念だが。

今後の戦法としては
①人間ボーカル(特にボーイソプラノ)への依頼を増やす
②自分で歌う
③ボカロを使うなら鏡音リンを中心に初音ミクを増やし、レンで出す予定の曲はボーイソプラノに依頼するか空詩音レミAIに置き換える

を中心に活動していこうと考えている。
これほどまでにボカロが市民権を得た今、なかなか打ち込み系ボーカルに置き換えられないのがリアルな子供の声だからだ。
そういう未来を見越すなら、空詩音レミAI(リアルボーイソプラノのデータを使用したボカロ)はメインストリームになることはないだろうがOliverが人気だった時代のようなウケ方をするのではないかと思う。

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