仮題は「エンリケ」。
まず手始めにキーワードとなったのが「批判にたえるものではない」という言い回し。
ここからさらに「spirituanalyst」という造語を思いついたが今回の対立をわかりやすくするためにこの単語は捨て去った。
さらに新天地へ出ていくイメージから大航海時代へとつながっていく。だから仮題はエンリケ。
バックで鳴るピアノは東欧の吹きさらしの冬を思わせるコミュニタリウム要素。イントロで目立つアコースティックな撥弦楽器は中東のウード。中世~近現代においてはヨーロッパに拠点を移しつつもかつては中東の人であった彼のバックグラウンドを反映している。
シンセベースは私の6/8の曲にしばしば登場する暴れシンセ。ベースのくせにやたらと目立ちたがり、ベースにしては高音域まで上がってくる特徴がある。
パーカッションの一つにアフリカのUduが使われている。見た目はまるで魔人でも出てきそうな壺であるが乾いた音がする砂のスネアといったところ。叩いても誰も出てこない(はず)。
今回のサンプリング音源は持たざる者なりに頭をひねったもので、声素材にはアフリカのショットの声とチベットの少年の声を用いた。どちらも素朴さとルーツと森の深みに裏打ちされた声だ。
さらに今回は自作パーカッションまでサンプリングされている。と大仰な言い方だが大したものではない。あなたの家にだって(たぶん)あるものだ。
間奏パートで尖ったマラカスのように鳴っているのはこれだ。
楽器と呼ぶにはあまりにお粗末なお手製パーカッション。クッキー缶のふたの上にプラスチックの鉛筆キャップとコインを乗せ、ダイナミックマイクの前で縦に振ったのだ。
さらにそのwav音源を引き伸ばし、逆回転させ切った張ったのパッチワーク大勝負を仕掛けるなどしてさんざんいたぶった挙句にディレイをかけた。
昔も一度同じ手法でクッキーマラカスを作ったが誰からも「こんな音楽器じゃない」とは指摘されなかった。
バレなければいいのだ。
さて、次のサンプリングが物議を醸すかも。
新約聖書。
まさか聖書を壁に投げつけたんじゃないだろうな?
いや、こいつをマイクの前でバタンと閉じたのだ。イントロと間奏とサビの本物のバスドラの後ろにこっそり混じっているのがこの聖書ドラム。さしずめBD(バスドラ)ならぬBD(バイブルドラ)。語呂悪。
さて最後にボーカルだがいつもの通り陰を踏む陽の権現、レンに任せた。サビのハモリもレンの予定だったが同じ声だとメインと混ざり合って聞き取りづらかったため急遽リンに差しかえ。
曲の世界観としては本来リンの出番はなかったのだが今回は曲調よりも音調を優先して例外的にリンを使った。
使われている音としてはアフリカの声とパーカッション、中東のウード、ヨーロッパのハープと横笛、チベットの少年と世界中から調達する結果となったが皆共通点がある。それは決して歴史という物語の本流にはいない者たちということである。
そしてすべてが自らの役割を果たし、最初に設定したペテロの本分が息巻く地を支える一柱となっている。決して実在する地域そのままにつながる地ではないとしても。
これ以上は蛇足だ。ではペテロの本分が息づく地で会いましょう。